雑記と社会人

火ノ丸相撲は漫画史に残る作品。漫画を通じて感じた、思ったことを書きます。

火ノ丸相撲 第250番 潮火ノ丸と相撲 感想

火ノ丸相撲250番読了。

 


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覚悟はしていた、けれど、遂に、最終回でした。

引き延ばしすることなく、綺麗に完結した、相撲を題材とした稀有な作品、火ノ丸相撲。5年間追いかけ続けた作品の最終回を読めて幸せだと思いつつ感想。

 

さて、前回は潮火ノ丸の相を発現した鬼丸、刃皇に投げを仕掛けるが…

 


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流石刃皇、耐える。ところがどっこい、その技は…

 


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命を懸けて放つ三太刀同時攻撃っっっ!!!


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やはり決まり手は百戦夜叉堕!二太刀なら敵わなかったかもしれない、三太刀同時攻撃なら勝てる、それは横綱相手でも通用することが証明されたわけですね。

 

ここまで来るのに、果てしない道だった…上手投げ『鬼車』、二太刀同時の『百鬼薙』、命を懸ける

『百戦夜叉堕』…

 

遂に横綱に勝ち、優勝と初金星を掴んだ鬼丸。その表情に涙はなく、相手への敬意と自信に満ちた、『力士』がいました。


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インターハイ決勝で草介に勝利したときは涙しつつ勝ち名乗りを受けた火ノ丸が、鬼丸となって刃皇に勝利したとき、涙を流さず勝ち名乗りをあげるのは感涙ものですよ。

 

さて、鬼丸に破れた刃皇、その進退は…


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刃皇は、引退を笑って一蹴した…。(最高だよ!!)

刃皇はこの敗戦を糧に、更に強くなるでしょう。

 

そして、鬼丸は横綱になるには、強くなった横綱に、

再度勝たなくてはなりません。その道は、これまで以上に困難でしょう。力士は一度学習したら対策をすぐ立ててくるプロ。もしかしたら、百戦夜叉堕も決まらなくなるかもしれない。しかし、鬼丸ならきっと、乗り越えてくれるはず。未来を思いつつ、今は、鬼丸の優勝を祝います。


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鬼丸、おめでとう!!!!!!!

 

近年稀に見る、綺麗な最終回でした。

 

 

 

火ノ丸相撲完結について

 

ストレートにいうならば、最終回自体は何も言うことはないです、最高。ただ、作品自体の完結となると、堂々完結だとは思えない!もっとやれたんじゃないのか、というのが率直な感想。素晴らしい最終回であると同時に、消化不良感が残る…。もっと描けたはず、もっとできたのではないか…?川田先生の、火ノ丸相撲だからこそ、期待値が高かったからこそ、抱く感想。ただ、続きはないのかもしれない。けれど、もっと書けたと思わざるを得ない。優勝してからの未来が見てみたかった。その未来を描くのは、もしかしたら蛇足なのかもしれない。だけれども、最高の作品だからこそもったいないと思った。編集部さんにお願いしたいのは、ジャンプ+でも単行本のおまけでもいいから火ノ丸相撲のその後が見たい。その気持ちだけ。復活連載もいつかあるかもしれないという希望を胸に、いまはこの完結を味わいます。川田先生、連載お疲れ様でした。

 

 

※この記事の画像は集英社/週刊少年ジャンプに連載した川田先生原作『火ノ丸相撲』より引用させていただいております。

火ノ丸相撲 第248番 鬼丸国綱と刃皇、対話 感想


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かっこうよすぎるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!

 

え?だって雲龍型と不知火型が、見開きで対峙しているんだぜ?しかもコマ割りも似ていて、鬼丸は汗まみれだけれど、刃皇はまだ余裕の表情なんだよ????横綱の力強さと、それに挑む力士の構図だべ?やっべぇよ、かっけぇよ、…。果てる…。

 


はい、今週の火ノ丸相撲読了しました。横綱、即ち神である刃皇に抗う鬼丸、この一番はどうなるのか。

 

前々から想像していたのは、きっと刃皇は鬼丸と組んで、『対話』するだろうな、ということ。前回の取り組み…2日目、千秋楽の取り組みでは、鬼丸は刃皇との対話を拒絶した。あれから13日、刹那を生きる力士である鬼丸は、大きく成長した。鬼丸は対話のなかで、何を伝えるのか。

 

個人的には、どんな神になるか、愛とはなにかを話してほしいな…と思ってました。注目の第248話、感想始めます。

 

 

 

  • 刃皇-鬼丸、取り組み

 

刃皇相手に、今までの全てで立ち振る舞う鬼丸。突っ張りに踏み込みに前さばき、下手。突っ張りといえば大典太、前回しをといえば三日月、前裁きのうまさなら、その小さいからだで何度も視線を潜り抜けてきた鬼丸。そして場所中に馭した無道を駆使して、刃皇の回しを、下手で引く!!


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2日目同様、全力。2日目はかちあげから回しをとられが、今回は鬼丸から下手を掴みに行き、四つに組んだ。四つに組むという結果は同じでも、それに至るまでの手数が、大きな違い。

 

…思えば…。

 

この15日間の対戦で、鬼丸は、初日、大典太の張りを耐え、二日目に一度は刃皇に屈し、三日目には、為すすべなく数珠丸にも敗れ、もうダメかと思ったときに、レイナをはじめ、大太刀高校相撲部に救われ、四日目、大般若との一番で相撲を楽しむことを思いだし、五日目、草薙との一番で下手を復活させ、六日目、金鎧山との一番で不知火型を無意識に手にし、七日目には兄弟子冴ノ山の教えを元に難敵御手杵を下し、八日目に童子切から「刃皇を倒し優勝する意志」を受け継ぎ、九日目には刃皇に土をつけたこともある実力者、大関百乃花も越え、十日目、大和号との一番で不知火型ぶちかましをものにし、十一日目、大包平との一番で無道を馭し、十二日目、三日月との一番で覇乱万丈の相を手にして…千秋楽、部長と、そして優勝決定戦では兄弟子冴ノ山との一番をも乗り越え、辿り着いた刃皇。一番一番、確実に成長しているのが目に見える…鬼丸、最高だよ…。

 

かつて、刃皇は『それでも 今 勝ちたいと言うのなら

噛み締めなさい 一つ一つの経験を 濃密なものにしなさい 以上!』と言った。その言葉は、まるで、鬼丸のことを言っているようだと、今なら感じる。


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濃密な今を積み重ね、この一場所で、大きく成長した鬼丸の下手に対して、刃皇も侮るわけがなく、気になるを越えて、もはや認めていると。横綱から認められた鬼丸…。

 

たった数ヵ月前までは、名前も顔も覚えられてなく、超怖い顔で切れられていた鬼丸。


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刃皇に放った殺気だけは覚えられていた鬼丸が、今では認められる…成長したなぁ…涙がちょちょ切れますよ…。

 

 

 

  • そして対話

 

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いつかの刃皇裁判所で鬼丸は語る。『刃皇を一人にさせない』と。それはつまり、刃皇の横に並ぶ。即ち、横綱になるということ。しかし、鬼丸の体は、小さい。本来ならば167cmなければ、大相撲に入れない体。だからこそ刃皇は鬼丸に対し、


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その体でなれるのか?と問いかける。そして、

改めて君は『どんな神になる?』と問いかける刃皇。

 

思えば…。173番で刃皇は、鬼丸に、同じ問いかけをしていた…。


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そして、222番…5日目、対草薙戦で、鬼丸の中では既にその問いに対する答えがあったのだな…。

 


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  • 刃皇の、『どんな神になる?』その問いかけに対する鬼丸の出した答え

 


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鬼神かぁ…なるほど、確かにそれもまた神。皆が思うような、相手の攻めを受け止め、圧倒する横綱…神にはなれないかもしれないが、下手から始まる『鬼車』、『鬼嵐』、二太刀同時の『百鬼薙』、命を懸けて放つ、三点同時投げ『百戦夜叉堕』、怪我をしたからこそ身に付けられた、張り手『焼け枹』、一本背負い『無刀一輪』、更に、今までの取り組み、対戦相手から学んだ技を活かして取り入れた、『掛け投げ 鬼車・火龍』『愛・鬼車』『掛け張り手 焼け枹・破城』

等々…。

 

怒濤の攻めを繰り広げ、無限の揺さぶりで相手を攻めたてる、鬼丸にぴったりの神だ…。確かに、鬼丸の体は小さく、その力士生命は短いかもしれない。しかし、確実に生きた証を、空の上にまでその名声を轟かせることができる力士であることは間違いない。

 

横綱になり刃皇に並び立つ。それも、只の神ではなく、、、鬼神になるという鬼丸に対し、刃皇は、刃向かって見せろという。かかってこいと言わんばかりの刃皇が見せた姿は…

 

  • 神に刃向かうべく、激突


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人を謳歌し、横綱になった現人神、刃皇。

 


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自身を謳歌し、鬼神になろうとする、鬼丸。

二人の力士は、再度激突する---。

 

 

まとめ

 

今回の248話は、火ノ丸相撲第二部の、力士、鬼丸がどんな神…横綱になるか、そして、その相撲道はどんなものか、その主軸が明確になった話でしたね。今までも鬼丸自身、どんな神になるか、ちょこちょこ明示されていました。例えば、対草薙戦での、『ワシはワシを謳歌する!』や、巡業での対蜻蛉切戦での『親方や兄弟弟子に恥じることのない相撲道をワシは行く!』、等々。が、今回、はっきりと『鬼神になる』と言い切りました。横綱を投げ、小さい体で縦横無尽に土俵に住まう、『雲の上にまでその名を轟かす大横綱になる男』…鬼丸…鬼神…かっこいいじゃあないの…!!!

 


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きっと最後はこれで〆るはず…!横綱刃皇と鬼丸の一番を読める、喜びを謳歌しつつ感想の〆とします。

 

  • ただ、一つ、気になることが…。

 


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「とある夏  大相撲史に刻まれる 灼熱の夏の物語-----」

 

このエピローグから伝わってくるのは…完結が近い、かもしれない、ということ…。覚悟はしている、もう続きが読めないかもしれないと…終わるのか…?

 

…いや、今は、火ノ丸相撲を毎週読める、最高の「今」を積み上げていくよ…!終わるとは誰もいっていないんだ、これからも我々読者を楽しませてください、川田先生、待っていますっっっ!!!

 

 

来週の推察

技の応酬、そして刃皇の相解禁と、鬼丸覇乱万丈の相で激突するとみた。当たるかなぁ…?

 

 

※本記事は集英社/少年ジャンプにて連載中の川田先生による作品『火ノ丸相撲』より引用させていただいております。

火ノ丸相撲 26巻感想 験担ぎが面白い、改めて最高の兄弟子冴ノ山の26巻。


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買ってきました火ノ丸相撲26巻!

にゃぁ、冴さんと火ノ丸のツーショット表紙とは予想外でした。大相撲編になってからずっと、キャラ単独表紙が続いていたから、今回も一人かなと思いきや、柴木山部屋の関取兄弟弟子ツーショット。こんなん感情昂りますよ!水色を基調とした、冴さんの相撲、「水の如し」を表現している、綺麗で爽やかな表紙ですね、好きだっ!

 

さて、収録されているのは第224番 鬼丸国綱と草薙剣、超越~第232番 国宝世代と童子切安綱、継承までの全9話。 たったの9話?と思われるかもしれませんが、いやいや、中身のボリュームは凄いですよ。

鬼丸-草薙戦は勿論、童子切-大包平、刃皇-冴ノ山、鬼丸-童子切戦が収録されています。

 

改めて読んでみると、「この作品のクオリティを、週間連載で読めるのか…」と驚くばかりです。なぜなら、どの力士、いや、どのキャラも、自分の芯…覚悟が確かでぶれないため、行動、発言に違和感が全くないから。そして、過去描写が抜群にうまいからです。

 

まずは芯の部分から。26巻だけでも、

草薙の、全盛期の大和国を復活させる、という理想を貫くための変わらない覚悟

 

鬼丸の、勝ち続けるために、そしていつか、鬼丸だけの横綱相撲、鬼丸相撲を体現するために、変わる覚悟

 

誇れる自分になるために、童子切のライバルになるために、あえて辛く苦しく悔しい思いをするであろう、朝陽川部屋に入門して己を鍛え、そして、一番になるために、壊してでも…と思う、大包平の覚悟

 

横綱になるという夢を叶えるため、そして強い兄であるために、どれだけ泥にまみれても苦手を得意に、自信になるまで稽古を積む冴ノ山の覚悟

 

百乃花の、何がなんでも勝つために、前頭の鬼丸相手でも変化する覚悟

 

等々。どのキャラクターも、「何故それをする?」が明確だからこそ、読んでいて違和感がないと思います。

 

続いて過去描写について。26巻に収録されている第 228番「冴ノ山という男」は、一話まるまる冴ノ山関の過去描写です。この一話だけで、なぜ相撲を始めたのか、入門してからどんなことがあったのか、転機はなんだったのか、全て書かれています。一話だけで起承転結が明確。グレートですぜ、こいつぁ…。

 

入門したきっかけは親方の勧誘もあったが、何よりも『大和国』の姿を見たこと。中卒で入門の、叩き上げだった冴ノ山関は、入門から3年?19才で十両昇進、20才で新入幕というトントン拍子の出世ぷり。しかし外国人力士の壁と膝の怪我で低迷。そんなとき鬼丸が現れ、入門し、怪我をした。そして、『強い兄になって稽古場で待つ』という覚悟を決めた冴ノ山関は、巡業でも積極的に土俵に上がり、苦手にしていた御手杵関を克服するために、嫌がるまで出稽古を重ね、遂に、229番「縦のつながり」で、24戦全敗の横綱刃皇から☆を獲得した。

 

ここまでたった2話。信じられない厚みを感じます…

もちろん、この2話だけで冴ノ山に対してカタルシスを感じるわけではありません。高校時代の火ノ丸との出会い、大相撲編に入ってからの冴ノ山に関する描写…。それらの積み重ねではありますが、描かれていなかったキャラの過去を、たった2話で描写しきる川田先生の構成力は素晴らしいものがあると思います。

 

 

以下26巻でビックリしたこと

1 柴木山親方三賞を計9回受賞していた

2 首藤くん、廃業していた

3 妙斧山関、北青龍関、凛々しい顔つき

4 冴ノ山の験担ぎリスト。


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・ベートーベン聞く←わかる。

・道場は右足から入る←わかる。

・道場にいる全員に一人ずつ挨拶←最高。

・薫風には二回挨拶←!?

 

ごめんなさい、正直笑ってしまいました、だって、『薫風には二回挨拶』ですよ!?何故なんだ…そして唐突すぎる

推測1 マッサージがうまいため、日頃の感謝と尊敬を込めて。

推測2 柴木山部屋の力士で最年長だから(以前は薫富士だった)

推測3 ご利益があるから…?

要考察。

他にも、パンツは水色、持ち物には全て名前を書く、体重は奇数がいい。等々。基本突っ込みどころしかないぞ冴えさん!笑

 

というわけで26巻まとめ!


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「10週で終わる覚悟もしていました。

毎話精一杯作っていましたが、そもそも読んでもらえないと思っていた。皆様の応援のおかげで早五年、どうか最後まで見届けて頂けると幸いです…!」

 

川田先生、そんな寂しいこと言わないでぐだざぃぃぃぃぃぃぃぃぃ

 

少なくともここに!あなたの作品を!火ノ丸相撲を楽しみにしている読者はいます!Twitterにもたっくさんいます!だから、そんな寂しいこと言わないでください…ううう…

 

次巻表紙予想 大包平関一択!

 

この記事の画像は週刊少年ジャンプ/集英社にて連載中の川田先生による『火ノ丸相撲』より引用させたいただいております。

火ノ丸相撲 246番 鬼丸国綱と冴ノ山紀洋2 感想


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今週の火ノ丸相撲読了。兄弟愛に溢れている話でしたっ…(涙がっ…)しかも今週は増ページ!やった!

増ページは嬉しいけれども、煽りには大相撲編クライマックス!の文字が…心に少しの不安を抱えつつ、それでも増ページ貰えるのはありがたいなぁと思いつつ、今週の感想です。

 

前回は大包平と刃皇の一番を終えて冴ノ山と鬼丸の鬼気迫るカットで終わり、今週は取り組みの真っ最中。

 

思えば冴ノ山と鬼丸は42話、火ノ丸が桐仁の計らいで柴木山部屋はへ出稽古にいってからの関係…。初期の冴さんは目が死んでいて怖かった覚えがあるな…


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初登場の冴さん。怖い。

 


そのときから冴さんの実力は確かで、高校生だった火ノ丸は未完成の百戦夜叉堕を繰り出しても敵わないほど。しかし、火ノ丸の諦めないその目に、冴えさんはファンになったといいます。

 


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あの出会いから、柴木山部屋に入門し、約4年…
遂に、本場所の土俵で向き合う冴ノ山と鬼丸。
二人の取り組みの勝敗は如何に。

 


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燃え盛る炎のように攻め立てる鬼丸と、
変幻自在の水のように受け流す冴ノ山。

 


鬼丸は右四つ、冴ノ山は左四つが得意の形。稽古場で何度もぶつかり合ったからこそ、お互い相手の得意の形にさせまいと拮抗し、両者の取り組みは必然的に長くなる。

 

 

長い取り組みのなかで冴ノ山の回想に入ります。

おそらく怪我をする前の、十両三枚目の鬼丸と前頭14枚目の冴ノ山。冴ノ山からしたら自分の後ろから猛烈に追い上げてくる鬼丸は、恐怖の対象になる。自分が部屋頭として、そして鬼丸より長く大相撲の世界にいる力士として、その番付が抜かれたら、と思うと…。

 


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感覚としては、部活動をしていて、自分より優秀な後輩が入ってきて、抜かれて慕われなくなり、自分の居場所がなくなるのではないか…?その感覚に近いものがあると思います。

それに、大相撲の世界では番付が全て。例え年下でも、自分より番付が上回れば部屋頭にもなるし、待遇も変わってくる。大相撲に年齢は関係ない。そういう厳しい世界にいるからこそ、冴ノ山は鬼丸を恐れていた…。

 

 


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だからこそ、冴ノ山は奮起した。強い兄であろうと、絶対に負けたくないと。

 

そして強い兄であろうとする姿勢は、鬼丸が怪我をしてからも、ずっと維持し続けた。だからこそ、関脇という、大関に、そして横綱に近い番付を長く維持できていたし、横綱になるという夢も諦めなかった。そんな冴ノ山の背中を見て、鬼丸もまた頑張れた。なんと美しい兄弟愛だろうかっ…!

 


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それでいて火ノ丸も冴さんを認めているし、尊敬もしていて…麗しき兄弟愛なり。

 

 


場面は再び取り組みに。鬼丸が切り返しで冴ノ山の状態を崩す!そして、かつて冴ノ山に迫った、火ノ丸の、鬼丸の下手が…!


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その下手をとられる前に、鬼丸の回しをつかみに自らの左腕を鬼丸の腕の下にいれ、寄るっ!

 

 


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刃皇を下した左四つの寄りで鬼丸を寄る!寄る!
寄られたら普通の力士は堪えようとばかり考える。だが鬼丸は違った! 逆に! 鬼丸はなんとさらに!土俵際に引いた!

引いたことで土俵際丁寧な冴ノ山を不安定なまま土俵際に引きずり込み!体が宙に浮かんだところで鬼丸はっ!

 


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投げたっ!櫓投げ、鬼桜だっー!(22話以来2回目)な、な、なんてこったいっ…!身長160cmたらずの鬼丸が、身長191cmの冴ノ山を投げるだなんて…小さい奴が大きい奴をぶん投げる…こんなのワクワクしないわけがないっ!!!

 

 

そして、兄弟子冴ノ山を下した鬼丸は、ついに…。

 


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辿り着いた。
…2日目、鬼丸は刃皇裁判の法廷にて、刃皇との対談を拒絶した。しかし、数々の取り組みを通じ辿り着いた千秋楽。今は、刃皇に話したいことがあるという。
土俵の上で、何を語り合うのか。
次回、9月場所千秋楽、優勝決定戦、横綱刃皇-前頭3枚目鬼丸、発揮揚々!

 

 

 

感想
増ページ…ありがとう…その言葉しか浮かばない…そして、増ページを感じさせない情報量の多さ、密度…。246話だけで、


1 冴ノ山の独白と鬼丸との兄弟愛
2 親方と冴ノ山の子弟愛
3 冴ノ山と堀ちゃんの愛
4 愛の戦士、横綱刃皇降臨

 

要素多すぎるんだよぉ!(歓喜)

 

 

一つずつまとめていきますね。

 


まず、冴さんの心情の吐露
凄くいい…いや、たまらなくいい…。
そうだよね、後ろから来る若く優秀な目は、怖いよね…いつ抜かされるか分からないし、抜かれたら…そう、自信が足りないから恐ろしく感じる…
人間臭い冴ノ山、好きです。

 


きっと、このときの冴ノ山は、横綱になることより、鬼丸に抜かされたくないという意地の方が強かったのかもしれない。だからこそ、中々上に行けなくて…。皮肉なことに、鬼丸が怪我をしたことが転機となって、冴さんは強くなったのかもしれないな、と思いました。強い兄として、弟を待つ。あーっ、エモいっ!

 

 

続いて親方と冴さんの子弟愛。
柴木山親方が果たせなかった、横綱になるという夢を背負う冴えさん。そんな冴さんは大関に近づいている。でも、柴木山親方は関脇が最高位。その事から大関になる方法を教えてあげられないと嘆いて…親方…(涙)
思えば親方は何かと、関脇止まりの自分を卑下していたんですよね。駿海さんに関する、桐仁と親方の会話でも親方は、
「才能のないぼくを関脇にまでしてくれた人だよ」と言っていましたし…。

関脇止まりの僕が…そのとき冴さんが返した言葉が

 


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冴えさんっ…!!!
そうなんだよ、親方の夢の続きは冴えさんだけじゃない、鬼丸だって託されているだうわあああああえもいっっ!!!

 


で、その冴えさんは堀ちゃんと中が良いようで…
前々から気配はさりげなく漂っていましたが…
どうやらありそうですね、いいことや!
(バト…どんまい。)横綱以外にはいらない…(でも堀ちゃんは別)


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ここの堀ちゃんまじで美人。風立ちぬ

結婚シーンみたい。

 

 

そして刃皇。最後のページのカットは佐藤先生の
鮫島、最後の十五日のオマージュでしょう。

 


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そうでなくても、この刃皇は、あまりにも
神々しい…。憤懣でも、静謐でも、暢気でもない。刃皇の相、というべき、 自信に満ち溢れている…。かっこよすぎる…。

 

 

ということで今回のまとめ。
1 25Pで優勝決定戦を終わらせる高速っぷり。
2 しかしその25ページの満足度は天下一
3 遂に辿り着いた刃皇との再戦!鬼丸、
優勝をかけて最強の横綱に挑む!

 

 

来週はまだかぁぁぁぁぁ!!!

 

※本記事の画像は集英社:週刊少年ジャンプにて連載中の川田先生原作『火ノ丸相撲』より引用させていただいております。

火ノ丸相撲9月場所星取まとめ+9月場所星取表推察 ジャンプGIGAに対抗

現在連載中の火ノ丸相撲は9月場所をメインとしています。

そしてジャンプGIGAにて公式より星取表の発表があるとのこと。

ならば自分でも星取表をまとめてやろうと。

 

ということで、9月場所の成績を、描写されている部分、千秋楽の成績からの逆算した9月場所を終えての成績星取表と、未描写部分の推察をした完全版(仮)星取表作成しました。

 

まずは9月場所の、現在判明している成績一覧。

データソースは火ノ丸相撲第197~第242番。

 

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表の見方は、一番左の黄色い列が四股名と番付、

一番上の黄色い列が日付、一番右の列が判明してる成績で、表中央がそれぞれの日付ごとの成績です。

不明な部分は?を用いています。

 

表の読み方の例

刃◯ 5-2 と書いてあったら、

vs刃皇 、勝利 場所の成績は5勝2敗という意味

刃● 1-1と書いてあったら、

vs刃皇、敗北 場所の成績は1勝1敗という意味になります。 

 

改めてまとめてみると、川田先生は、キャラの台詞で

鬼丸以外の力士の成績を補ったり、コマの一部分に勝敗の電光掲示板の描写を入れるなど、全員の描写は大ゴマでできなくとも、さりげなく成績を伝えているなぁと感じました。

おかげで成績表まとめていて、まるでミッケをやっているような感覚でした笑


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⬆️本編より。大和号の電光掲示板が消灯…つまり

負けたということが分かる。また、大典太の電光掲示板は点灯していることから、北青龍に勝ったとも分かる。これは現実の大相撲にもあるので、現地に足を運んでみてほしいです!

 

続いて成績予想です。

 

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緑色の部分は私の推測で補った部分です。ほぼ推測ですね。

 

成績は描写通りの妥当な線を行きました。金関、大典太は勝ち越して、大般若は負け越しかな、と予想し成績を合わせてみました。その中でも巨兜、北青龍、妙斧山には大きく負け越してもらいました…百乃山に至っては1勝のみ+休場+角番負け越し、来場所大関から関脇に陥落という推測。また、北青龍、希真鵬、太郎太刀ら下位番付力士らの対戦相手は22巻の番付表とにらめっこして記述しました。三尾錦に岩竜…懐かしい名前が載っていました…。

 

また、今回成績予想表を作成する際の星合わせ、本当に大変でした…。上位陣と総当たりになるはずの数珠丸が総当たりになっていない、百乃花負け越し度合いがすごい、途中休場されると、対戦を組みなおさなきゃいけない、など、大相撲での取組編成を行っている人に敬意を表したくなる大変さでした。

 

皆さんも星取表作成してみてください。面白いですよ。

火ノ丸相撲 245番 鬼丸国綱と冴ノ山紀洋

火ノ丸相撲 245番読了しました。


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(魂が抜ける感覚)

 

遂に始まる刃皇、大包平、鬼丸、冴ノ山4力士による優勝決定戦。組み合わせは刃皇-大包平、鬼丸-冴ノ山のダブル同部屋対決。現実で起きたらもうすっちゃかめっちゃかですよ。ただ、今週のタイトルは鬼丸国綱と冴ノ山紀洋…。タイトルから何となくわかってしまったのが悔しいですが、我らが大包平横綱刃皇により、たった6ページで圧倒されてしまいました。悲しい…。

 

刃皇-大包平

 

勿論、無道を解き放った刃皇の強さは未知数とはいえ、もう少し、取り組みが見たかったのが正直な感想。せめて10ページくらいはみたかったなぁ…もちろん、現実の大相撲でも肩透かしを食らったようにすぐ取り組みが終わる一番もあります、片方の強さが際立ちすぎているときに起こることなのですが…。同じ部屋で何度も稽古を積んで、何度もぶつかり合って、国宝世代の中でも一番刃皇とぶつかり合ったはずの、そして、死を恐れぬ捨て身の相撲、無道を制御しているはずの大包平の、離見の見を、さらに上から見る無道刃皇は、大包平より上なのだと、川田先生は台詞なしで伝えてくれました。


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土俵の上から取り組みを客観視する離見の見。

 

その上から圧倒する横綱刃皇。


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例え一つ前の取り組み、物言いで草薙に破れても、刃皇の強さは揺るがない。そして、動揺しても言い負け方をしても、次の一番に引きずらない、これこそ横綱

 

 

鬼丸-冴ノ山

優勝決定戦、二番目の取り組み、同部屋対決は鬼丸-冴ノ山。以前記事でもあげたように、大関昇進の目約というのがあり、それは、三役の地位で直近三場所で33勝。今場所までの冴ノ山の総勝ち星は、9勝、10勝、13勝、合計32勝。今場所は横綱に既に勝ち、尚且つ4大関にも、難敵御手杵にも勝っての13勝、個人的にはもう昇進決定してもいい気がするのですが、あくまで個人の感想。冴ノ山としては、鬼丸に、そして刃皇に勝ち、優勝。文句なしの昇進といきたいところ。そして、遂にたった夢の舞台、鬼丸との本場所での一番。

 

 

かたや鬼丸。こちらも刃皇の優勝を止める、師匠、レイナ、皆の前で優勝することは譲れない。やがて横綱になるという目標のためにも、負けられない取り組み。柴木山部屋の力士として、恥ずかしくない相撲をとる。兄弟子として尊敬する冴ノ山だからこそ、手心を加えることなく、真剣勝負。弟弟子との本場所での一番をとる夢を叶えた冴ノ山、横綱に勝って優勝する夢を叶えるべく取り組む鬼丸。その二人の力士の様子は、まさに鬼気迫る表情-----

 


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感想

始まりましたね、優勝決定戦。川田先生がかつてないほどのペースで取り組みを進めているような、いや、力士たちが勝手に取り組みを加速させているのか。とかく刃皇-大包平の一番は6ページだけでしたね、もう少し心理描写があればと悔やまれます…それと、幕下2枚目のバトこと白狼さんが幕下優勝をさらっと決めていたこと!

 


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これも驚きました、ページの関係上仕方ないかもしれないけれど、みたかったなぁ、優勝するときの一番。きっと元栄大付属の幕下筆頭ダニエルとの一番だったんだろうなぁと、妄想が膨らみます。来場所は怪我をしてしまった…丸さんのためにも十両で暴れてほしい、白狼さん!


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それと印象深いひとこまを一つ紹介。

同部屋の兄弟子で、若い鬼丸より冴ノ山を応援したくなる寺原さんに対して、バトが、そして怪我をした丸さんがいった一言。

 


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 強い方が勝つ。土俵上で向かい合ったら力士と力士。恨みっこなし。素晴らしい言葉だと思います。

 

かつて火ノ丸と部長の取り組み前にチヒロは「ただ…俺ら外野がどんな思いを抱えようと、こっから先は二人の世界。純粋にどちらが強いか、それだけだ…」という台詞を残しています。そして、柴木山親方が部長に「いいんだよ 土俵の外の尊敬心と土俵の中の競争心 敵対心は 同居していいんだよ」とも言っています。何よりも、部長の台詞。「感謝してるよ…ただ…その気持ちは、土俵の下に置いて来た…!」

 

この台詞からも伝わるように、例えどれだけ中がよくとも、例えどれだけ番付が離れていようとも、例えどれだけ個人的好意、敵意があろうとも、土俵の上で語れば全てわかる。そういうメッセージが、このひとこまに詰まっている、そう思いました。

 

まとめ

というわけで今週の感想をまとめると

 

櫓投げを同じ場所で二度も決める横綱の強さ。そして

同部屋対決だからこそ手心を加えずにぶつかり合う二人の力士の凄み!いやぁ、まさに鬼気迫るコマでした、川田先生の魂が載っているようなひとこま、ありがてぇっっっ!しかも来週の増ページ、川田先生、確実に我々を仕留めに来ていますね…来週も楽しみです!

 

本記事の画像は集英社:週刊少年ジャンプにて連載中の川田先生原作、火ノ丸相撲より引用させていただいております。

火ノ丸相撲 244番 刃皇と国宝世代

草薙が拘りを、美学を捨てて足掻いたゆえの勝利、

個人的にはとても感動しました。確かに本人の目指す

相撲とは違うかもしれない。それでも国宝世代に、いや、大相撲をみたいと思う人々に、勝利を託されたら

答えないわけにはいかないのも、また力士としての役目だと考えるのです。

 

しかしここで団体戦要素を入れてくるとは…川田先生、恐れ入りました…!


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